2024年の旅館業界M&A振り返り

2025年3月19日

1.M&Aを活用した宿泊事業新規参入事業者はたった1件(2024年)

弊社には「宿泊業に新規参入したい」と希望する事業社からの問い合わせを多くいただいております。表現は少々失礼ながら、希望社様が軒を連ねるほどの多数のお問い合わせをいただいていて、多くの方々からの宿泊業への興味・関心の高さを強く感じている次第です。ただ、その事業社の多くは、新規参入する気満々ながら、物件がないのでその挑戦機会を得られていないのが課題の企業様になります。ちなみに、新規参入を希望する事業社の業種は様々ですが、総じて投資能力に長けていて、人的資源の豊富さを感じる企業様です。

そんな「新規参入希望社軒を連ねる」状況を傍目に見ながら、2024年の旅館業界M&A事例を調べたところ、私の調べでは5件の旅館M&Aが成立。5件のうち、新規参入事業者は1件です。(ホテルも含むになりますが)旅館・ホテル事業で約5.5万軒と言われる事業社数において、5件のM&A成立というのは非常に少ないと感じます。しかも、新規参入事業者はたったの1社です(重ねてですが弊社調べ)。宿泊業への新規参入を希望する事業者と既存の宿泊事業社のマッチングはもっと成立事例が増えるべきで、それが、旅行者や利用者に役立つ取り組みになるのでは?と感じております。

2.なぜ、新規参入希望社と既存宿泊事業社とのマッチングが進まないのか?

(弊社が考えるよりも)新規参入事業社との成約事例が増えない最大の理由は、宿泊業における現状把握(デューデリジェンス)の難しさにあるかと思います。築年数が経過した建物の現状把握に始まり、所有している不動産価値や権利関係(温泉の権利など)が曖昧になっていることもその要因と思われます。築年数が経過した建物の修繕費用がどこまでかかるのか?が解らないのはある意味仕方ないこと。それに加えて、「どこまで不動産を所有しているのか、実はよく分からない」「検査済証が未取得の建物がある」など、歴史を重ねた宿泊施設ほど、それらの課題を抱えていることが多い。ただ、これらの現状把握は、「これは譲受企業様も許容してもらえる」「これは譲渡企業で負担・処理して引き渡さなければならない」と丁寧に紐解けば必ず解決がつくことです。特に、譲受企業様に比較的許容してもらえることを意識しながら現状把握に努めていくことが寛容と思います。

また、特に人的資源や再投資の資金に課題がある既存宿泊事業社におかれましては、「業務提携」「運営委託」という協力関係から自社事業の業績回復を模索するのも有効手段と思います。宿泊事業はコロナ禍で最もダメージを受けた業種の筆頭格です。魅力的な施設ながらも自社だけの力で再生することが難しい課題を抱える事業社は多い。インバウンドも含めた利用者(お客様)が増えているのにその恩恵を受けることができないのはもったいないことです。自社に相応しい提携先を選定することは非常に重要ですが、単独再生にこだわらず、上手に新規参入希望社の力を借りることも肝要と思います。

3.「事業承継」を模索する既存宿泊事業社は施設売却にこだわらず様々なアレンジを模索すべき

他業種の事例になりますが、筆者が担当した案件にて、「事業売却」を「賃貸借も交えた譲渡スキーム」にアレンジしたことで成立したM&A事例がございます。譲渡企業様は、〇億円での事業売却を希望されていましたが、弊社から「売却対象は造作のみの×億円(〇億円よりも低い)。残りの建物・土地は賃貸借契約にて譲渡対価を得る」というスキームをご提案。その譲渡スキームを許容いただけたことで、初期投資を低くしたい譲受希望企業様との調整がつき、M&Aが成立しました。そのスキームを許容された譲渡企業様においては、「固定資産税を支払う義務」「建物修繕に関する責任」が発生することになるのですが、その責任とM&A成立条件を天秤にかけたというのが譲渡企業様の葛藤だったと思います。譲渡企業様にはいわゆるベストではなく、ベターを選択いただいた格好になりましたが、それでもM&Aが成立するというのは譲渡企業様にとって非常に意義があることです。そして、そのM&Aは引継ぎ後の状況も良好で、初期投資が押さえれた譲受企業様は思い切った再投資ができ、施設を繁盛させることに成功されています。いわゆる家主として譲受企業様の取り組みを見守ることになった譲渡企業様からは、「賃貸借契約に変更したが売却の希望条件〇億円を得る目処がついた」と安心して見守っておられます。

4.M&Aに限らず、様々なアレンジで自社の業績回復策を模索する

船井総研あがたFASは、M&A専門の仲介会社ではありません。売却ありきのご提案ではなく、「経営者の業績アップ実現に寄り添う」ことに注力しております。もちろん、自力で業績アップを実現することも選択肢の一つと思いますので、弊社としては、それに最も可能性があると感じれたら、そのご提案をさせていただく。もしくは、M&Aの成立に限らず、業務提携や運営委託も含めて、他社との上手な協力関係を成立させることで皆様の業績アップ実現に寄り添うことができればと思っております。是非、気楽に弊社への無料経営相談機会を通じ、自社の業績アップ実現に向けた最短ルートをご整理いただければと思います。

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