新型コロナウィルス対策特集 その2-1.資金繰り対策 全体像
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みなさん、こんにちは。
今回のコラムでは、前回に引き続き、新型コロナウイルス対策 特集その2として
「今すぐできる資金繰り」
についてお伝えできればと思います。
コロナウイルスが長期戦になることが予測される中で、資金繰り対策は必須と言えます。
今回と次回の2回は、今すぐできる資金繰り対策についてご紹介します。
■宿泊業が今すぐできる資金繰り対策 3つの類型
さて、宿泊業が今すぐできる資金繰り対策ですが、大きく
【運転資金確保の秘訣】
【現金を積むのではなく保つ】
【過剰な借り入れ、借り方の注意】
の3つをご説明します。
すでに取り組まれている施設様もいらっしゃるかもしれませんが、今回の騒動に関係なく今後も活用できる方法ですので、ぜひ参考にしてください。
今回の資金繰り第一弾では、「運転資金確保の秘訣」についてお伝えします。
■対策その1.運転資金確保の秘訣
第一の対策として「運転資金確保の秘訣」についてご紹介します。
前提として、金融機関の審査体系上、宿泊業に対して運転資金の貸し出しを行うことは難しい傾向にあります。というのも、旅館は仕入れの少ない現金商売であり、収支のズレを補うための運転資金は、ほとんど必要ないと判断されることがある為です。
OTAやカード決済などで1ヶ月程度入金が遅れるだけで、2、3カ月先の運転資金が必要ないと判断されることがある、とも言いかえることができるでしょう。
宿泊業の予約の多くはOTAからが大半を占めている現状ですが、やはり旅館量は設備融資はあれど、運転資金でいくらも調達する業態ではないという考えは、根強く金融業界に残っています。
この状況を回避するために、他の方法で借入を打診すれば、状況を打開できる可能性があります。
その方法こそが、
「復元運転資金を根拠に融資の相談」
「設備運転資金として借入」
です。一つずつ説明しましょう。
方法1.復元運転資金を根拠に融資の相談
宿泊業は、配管、外装、敷板などを紐づけた「設備紐づけ融資」が多く、借入本数と毎月返済額が増えやすい傾向にあります。通常通りであれば、返済金額は売上(設備を活用したことにより入るはずの営業収入)から返済することができますが、有事の場合はそもそも設備から生まれる収益が減少し、通常通りの返済が厳しくなります。下記の表をご覧ください。
こちらの表を例として説明すると、3行から設備資金を借入しており、年間で計算すると1,238千円×12カ月=14,856千円が何もしなくてもキャッシュアウトすることになります。
本来であればこの返済は設備から生まれる営業収益で返済すべきなのですが、有事ではそもそもご来館いただく客数も激減してしまいます。
そこで金融機関宛には、いったんこの年間返済額を「年度資金」として一部復元いただけないかと交渉し、年間で約15百万円近いキャッシュアウトを抑える方法があります。
論理的に説明するためにも、上記の「借入明細」を作成し、年間元金返済金額を根拠とした「復元運転資金」を依頼するのはいかがでしょうか。
方法2.設備運転資金として借入
また、毎年の設備投資額を確認することで「設備運転資金」の名目で毎年必要となる年度資金を借入できることがあります。事例をもとにご説明しましょう。
宿泊業は、前述の通り一般的な運転資金を調達しにくい業態ですが、一方で旅館の設備は毎年のように古くなり、他業態では考えられないほど多数のアイテム(設備)を維持していかねばなりません。あるご支援先の旅館も、毎年20百万円以上の設備修繕・投資が必要となっていました。
そう、ポイントはこうした「毎年出ていく設備資金が、まるで一般的な企業の運転資金ごとく継続的に必要である」という点です。運転資金とは企業が継続する限り永続的に発生する借入ニーズのことですが、宿泊業ではそれが設備に紐づいているだけで、やはり同様に継続的な資金が必要であることを疎明しましょう。
また、金融機関は審査の性質上できればその場の説明だけではなく、根拠となる資料提出を心がけるとなお良い結果を導けるでしょう。
今回の事例のように根拠資料がある状態で融資の相談をしたところ、「設備運転資金」名目で80百万円を確保することができ、年度資金が安定的に回る結果となりました。
さて、今回の事例のように資金調達を成功させるには、、まず自社の資金の出入りを把握し、根拠を持つことが重要となります。過去の資金の出入りを確認していただき、根拠を示せることが、理想的な資金調達を実現するための第一歩となります。
次回は【現金を積むのではなく保つ】【過剰な借り入れ、借り方の注意】についてご説明します。