SDGsを意識し、施設の強みと土地柄を上手に組み合わせた企業
The sense of wonder holistic glampingを運営する冨高様に、グランピング成功の秘訣についてお話を伺いました。
■貴社のグランピング事業を始めたきっかけを教えてください。
グランピング開業以前にオーガニックレストランを運営しておりましたが、事業規模を拡大したいと思い、新規事業を探していました。飲食と相性の良い宿泊業に目を付けていましたが、当地に温泉が無いことをデメリットに感じていました。
しかし、景観の良さと飲食事業を活かせるグランピングという業態を見つけ、事業の立ち上げを決意しました。グランピングの流行が終わっても建物として永続的に使えるようにするために、段差をなくしたり、スロープの設置をしたりと高齢者でも使えるような施設にしています。
■貴社の理念、ブランドで意識した点を教えてください。
事業をする際には、景観への配慮と生物多様性、環境負荷を考慮して次世代の価値観にも耐えうるよう設計しています。今回も、せっかくの景観が損なわれないよう、周りの自然と調和するように色彩や照明などに注意して施設を立ち上げました。
また、なるべく地元の食材を使うようにすることで、地産地消を通じて大分・湯布院の循環経済と一次産業に貢献できるよう意識しました。
■貴社のコンセプト・商品設計に関して、教えてください。
立ち上げの際「感度の高い人に訴求できること」を意識しています。口コミやマスコミを通じて人気にできれば、と考えたからです。実際に立ち上げた際は、大分県初のグランピング施設として各局のテレビ等のマスコミに取り上げて頂きました。
ポイントとしては
①半歩先をいくこと
②コンセプトを明確にすること
この2つを心掛けました。
①の「半歩先」に関しては、「オーガニックレストラン」「自然食」「グランピング」等の言葉を使って社会でまだ5%ぐらいの人しか認識できてないコンテンツを打ち出すことでインパクトを与え、メディアが喰い付きやすいよう事業設計しました。上記の文言は今では普通の言葉になっていますが、私が立ち上げた際はまだまだ一般的ではありませんでした。
また、②の「コンセプト」に関しては、アメリカやヨーロッパのグランピング施設との比較に耐えうるもの、そしてどの層に対してどんな価値を提供するのかが伝わるよう意識しました。
■貴社のサービス品質に関して、教えてください。
お客様と積極的にコミュニケーションをとり、目に見えるところには特にお金をかけるようにしました。宿泊業は素人のため一流の接客ができるわけでもないので、とにかくお客様とコミュニケーションを取り、改善を繰り返すようにしました。お客様の意見を大事にし、徹底的にお客様目線でのサービスを提供できるようにしました。
また、ファシリティ、アメニティ、食べ物やWebサイトなどの目に見えるものには投資をして、バックヤードは逆に投資を抑えました。あれもこれもと全てには投資できないので、メリハリを利かせました。
■コロナ禍での稼働率状況を教えてください。
稼働率はオンシーズンで95%、オフシーズンで80%程となっています。お客様は九州全域、特に福岡県から来られる方が多いです。
また、初期投資は約4,000万円で、毎年500万円~800万円かけてリニューアルをしています。スイスの宿泊施設は増築をせず改築に追加投資をしていくことで施設の質を上げています。私もそれを見習い、施設全体の質感や食事の質を上げています。今後もキッチンルームやコインランドリーを追加投資する予定です。
売上は公開しませんが現在2棟、再投資、再々投資することで客単価向上に成功しており、高収益化に体質改善出来てきました
■今後の展開に関して教えてください。
今はグランピングがブームとなっていますが、コロナ禍によって加速した分終息も早くなってしまうと予想しています。かつて1980年代にペンションブームがありましたが、今は9割くらいが潰れています。これは情緒的な部分に傾倒し過ぎ純粋な意味での宿泊施設としてのクオリティは高くなかったのが問題だと思います。
これはグランピングも同様であり、宿泊業に求められる様々な要素のクオリティが高くなければ生き残ることはできないと思うので、常にブラッシュアップに努め進化と深化していくことが重要だと考えています。
the sense of wonder holistic glamping様のHP
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