温浴施設の接客が「また来たい」を生む。差別化の8要素で考える固定客化

  • 温浴業界
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執筆者船井総研ホテル・レジャー総合
コラムテーマ業績アップ
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温浴施設の売上を支えるのは、新規のお客様より、何度も足を運んでくださる固定客です。設備や価格の差は、競合にすぐ埋められてしまいます。だからこそ、接客を軸にした固定客化が重要になります。

本コラムでは、船井流の「差別化の8要素」の視点から、接客と固定客化の考え方、そして改善の第一歩を解説します。

1.なぜ温浴施設は「固定客化」が重要なのか

温浴施設では、来館者の上位2〜3割のお客様が売上の大半を占めるケースが少なくありません。新規集客には広告費やクーポン原資がかかりますが、既存のお客様の来館頻度を月1回から2回に引き上げることは、比較的低コストで実現できます。

固定客は館内の飲食やリラクゼーションの利用も多く、客単価の向上や口コミによる紹介にもつながります。猛暑や悪天候、閑散期の落ち込みも小さくなり、経営の安定に直結します。

2. 船井流「差別化の8要素」とは

競合との差別化を考えるうえで、船井総研では「立地」「規模」「ストアロイヤリティ」「商品力」「販促力」「接客力」「価格力」「固定客化力」の8つの要素を考慮します。船井総研の各チームが業種ごとにこの考え方を使っており、温浴施設にも応用できます。

また、まず前半の要素(立地・規模・ストアロイヤリティ・商品力)から注力するという捉え方があり、優先度の高い上位の項目から整えるのが基本です。ただし、お客様の「また来たい」を直接つくるのは、後半に並ぶ接客力と固定客化力です。ここが弱い施設は、前半の要素が整っていても、お客様が定着しません。

3. 温浴施設における8要素の読み方

要素 温浴施設での捉え方
①立地 物理的な場所だけでなく、商圏内の競合と比べたときのお客様から見たポジション
②規模 浴槽・サウナ・休憩スペース・駐車場などの規模と、混雑時の快適さ
③ストアロイヤリティ 「この施設が好き」と思われるブランドイメージや愛着
④商品力 湯・サウナ・食事・リラクゼーションなど、提供する価値そのもの
⑤販促力 新規客を呼び込み、来館のきっかけをつくる力
⑥接客力 入館から退館まで、お客様に安心と居心地の良さを届ける力
⑦価格力 入館料や館内メニューの、価値に見合った価格設定
⑧固定客化力 一度来たお客様を、通い続ける常連客に育てる力


特に重要なのは、⑥接客力と⑧固定客化力が連動している点です。接客で生まれた好印象を、会員制度や次回来館の仕掛けで来館習慣に変えていくことで、固定客が育ちます。

4. 固定客を生む接客の基本原則

 ①清潔・安心・快適が土台

温浴施設で最大の接客は、清掃と環境整備です。環境が整っていなければ、どれだけ丁寧な言葉遣いも評価されません。

② 「覚えてくれている」という特別感

固定客になるきっかけは、自分を認識してもらえた体験です。「いつもありがとうございます」の一言や、よく使う時間帯・好みのメニューを把握しているだけで、お客様との距離は大きく縮まります。

③ ちょうどいい距離感

お客様は日常から離れてくつろぐために来館します。話しかける接客と見守る接客を使い分け、「見てくれているが、干渉しない」安心感をつくります。

④ クレームは関係構築のチャンス

迅速で誠実な対応ができれば、クレームをきっかけに固定客になることもあります。

5. 場面別・接客改善のポイント

•     入館時:笑顔の挨拶と、初来館者への簡潔な案内。初回の不安を取り除けるかが、2回目の来館を左右します。

•     脱衣所・浴室:巡回や清掃、備品補充をお客様の邪魔にならないよう行う「見えない接客」。「いつも整っている」ことが評価になります。

•     休憩・飲食エリア:会話が生まれやすく、固定客との関係づくりの要所です。配膳時の一言や、常連客へのさりげない声かけが有効です。

•     退館時:人の印象は最後の体験に強く影響されます。手を止め、目を見て「またお待ちしております」と伝えましょう。

6. 接客を個人技で終わらせない仕組みづくり

特定のスタッフの接客力に頼ると、その人が休みの日や退職後に、満足度が一気に低下します。

•     基準を行動レベルで言語化する:「目が合ったら会釈する」「退館時は手を止めて挨拶する」など、具体的に決めます。

•     情報を共有する:常連客の好みやお客様の声を、申し送りや朝礼・終礼で全員に共有します。

•     日常の振り返りで育てる:年1回の研修より、日々の小さなフィードバックが接客力を伸ばします。

あわせて、ポイント制度や会員制度、初来館者への次回特典などを組み合わせ、⑧固定客化力を高めましょう。効果は、再来館率、会員1人あたりの来館頻度、客単価、口コミ評価などで月次に確認します。

7. まずは「接客調査」で現在地の確認を

接客改善でよくある失敗は、現状を把握しないまま施策を始めてしまうことです。

•     スタッフは頑張っているのに、再来館率が上がらない

•     クレームは少ないが、固定客が増えている実感がない

•     自施設の接客が、お客様にどう映っているか分からない

こうした状態では、どこから手をつけるべきか判断できません。接客調査は、お客様の視点で自施設の接客と館内体験の現在地を確認するものです。8要素のうち、強みはどこか、足を引っ張っているのはどこかが見えれば、基準づくり、スタッフ教育、会員制度の見直しなど、限られた時間と予算を効果の大きい施策に集中できます。

8. まとめ

•     固定客化は、8要素のバランスで決まる

•     接客力と固定客化力は連動させて高める

•     清潔で整った環境が、接客の土台である

•     「覚えてくれている」という特別感が、固定客化のきっかけになる

•     接客は個人技にせず、基準の言語化と情報共有で組織の力にする

設備や価格は真似されても、「このスタッフがいるから通いたい」という関係性は真似できません。固定客化は、現在地を知ることから始まります。

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船井総研では、温浴施設向けの「接客調査」をご提供しています。「自施設の接客を客観的に知りたい」「何から改善すべきか整理したい」という段階から、お気軽にご相談ください。

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執筆者 : 船井総研ホテル・レジャー総合

ホテル・レジャー業界に特化した経営コンサルティングを行っております。コンサルティング事業で培ってきた成功モデルを武器に、ほぼすべての業種・テーマをカバーしております。経営に関するお悩みを幅広く解決いたしますので、是非お気軽にご相談ください。